不動産購入の諸費用はいくら?内訳・目安とシミュレーション|元司法書士が解説

不動産購入の諸費用
お客様

物件価格のほかに結局いくら必要なんだろう?

不動産購入を考え始めると、そう疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

仲介手数料、登記費用、税金、保険料……名前を聞いただけでは、何にいくらかかるのか、なかなかイメージがわきませんよね。

結論から言うと、不動産購入では物件価格とは別に、仲介手数料や登記費用、税金、住宅ローン関連費用、保険料などの「諸費用」が必要になります。

元司法書士   ぬりぼう

諸費用は支払うタイミングが分かれており、住宅ローンの融資が実行される前に必要になる費用もあるため、基本的には現金で準備する前提で資金計画を立てておくことが大切です。

この記事を読むとわかること

✅不動産購入の諸費用がどれくらいかかるのか、大まかな目安

✅諸費用の内訳と、それぞれの費用の概要

✅いつ、どのタイミングで支払うのか

✅モデルケースによる諸費用のシミュレーション

✅諸費用を現金で準備する考え方と、住宅ローンに組み込む方法

✅諸費用の負担を抑えるためにできること

目次

不動産購入の諸費用はいくら?まず目安を確認しよう

不動産購入の諸費用は、物件価格に対して一定の割合になることが多く、新築か中古かによっても目安が異なります。

新築住宅の諸費用の目安

新築住宅の場合、諸費用は物件価格の3〜6%程度が目安とされることが多くなっています。

中古住宅の諸費用の目安

中古住宅の場合は、新築よりも諸費用の割合が高くなりやすく、物件価格の6〜9%程度が目安とされることが多くなっています。

中古物件の取引では仲介手数料がかかることが多く、これが新築との割合の差につながっています。

ただし、中古住宅でも不動産会社が売主となって直接販売する物件など、仲介手数料がかからないケースもあります。

物件価格だけで予算を決めない

ここで紹介した割合はあくまで一般的な目安です。

物件の種類や取引の条件によって実際の諸費用は変わってきます。

物件価格だけで購入予算を決めてしまうと、あとから諸費用の分だけ資金が足りなくなることもあるため、早い段階から諸費用まで含めて資金計画を考えておくことが大切です。

不動産購入ではいつ・どんな費用が必要?

不動産購入の諸費用は一度にまとめて支払うものではなく、購入の各段階で少しずつ発生します。

大まかな流れとしては、購入申込み、売買契約、住宅ローン契約、決済・引渡し、購入後といった段階ごとにそれぞれ必要な費用が異なります。

具体的にどのような費用があるのか、次の章で詳しく見ていきましょう。

不動産購入にかかる諸費用の内訳

不動産購入の諸費用には、主に次のようなものがあります。

費用概要
仲介手数料不動産会社の仲介で購入した場合に支払う成功報酬
登録免許税・司法書士報酬登記にかかる税金と、司法書士への報酬
印紙税売買契約書などに貼付する税金
不動産取得税不動産を取得したことにかかる税金
固定資産税・都市計画税の精算金引渡し日を基準に売主と精算する税金相当額
住宅ローン関連費用事務手数料、保証料、印紙税など
火災保険・地震保険住宅ローン利用時は加入を求められることが多い
そのほかの費用水道加入負担金、修繕積立基金(マンションの場合)など

それぞれの費用について、もう少し詳しく見ていきましょう。

仲介手数料

不動産会社の仲介で物件を購入した場合、成功報酬として仲介手数料を支払います。

仲介手数料には法律上の上限額が定められており、物件価格に応じて上限額の考え方が決まっています。

売買価格(税抜)仲介手数料の上限額
200万円以下売買価格×5%+消費税
200万円超400万円以下売買価格×4%+2万円+消費税
400万円超売買価格×3%+6万円+消費税

多くの取引にあてはまる、売買価格400万円超の速算式を使うと上限額をおおまかに把握できます。

具体的な金額の計算例は後述のシミュレーションで紹介します。

登録免許税・司法書士報酬

不動産を購入すると、不動産の所有権を自分に移すための登記(所有権移転登記)が必要になります。

住宅ローンを利用する場合は、あわせて抵当権設定登記も必要です。

これらの登記にかかる費用は、登録免許税という税金と司法書士への報酬などをあわせたものです。

元司法書士   ぬりぼう

不動産の決済に立ち会うと、買主から司法書士へまとまった登記費用が支払われる場面があります。

「先生、儲かりますね」と言われることもありましたが、その金額には登録免許税という税金が含まれています。

ケースによってはかなりの部分が税金であるため、「この金額のうち、かなりの部分は税金なんですよ」とお伝えすることがよくありました。

登記費用の見積もりを見るときは、登録免許税と司法書士報酬を分けて確認するのがポイントです。

一定の要件を満たす住宅であれば、住宅用家屋証明書などにより登録免許税が軽減される制度もあります。

印紙税

不動産売買契約書や、住宅ローンを組む際の金銭消費貸借契約書を紙で作成する場合は、原則として印紙税がかかります。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得したことに対してかかる税金です。

売買契約時や決済時ではなく、購入後しばらくしてから納税通知書が届くのが一般的です。

一定の要件を満たすと税額が軽減される制度もありますが、軽減を受けるために申告が必要になる場合があります。

不動産取得税の軽減措置や手続きについては、物件所在地の都道府県の公式サイトや税務担当窓口で確認してください。

インターネット上には不動産取得税の概算額を試算できるツールもあります。

資金計画を立てる際の目安として活用するのもよいでしょう。

固定資産税・都市計画税の精算金

固定資産税や都市計画税は、その年の分を売主が支払うため、不動産売買では引渡し日を基準に売主と買主の負担分を日割りで精算するのが一般的です。

引渡し日以降の買主負担分は、買主から売主へ支払います。

精算の基準日は地域や契約内容によって異なる場合があります。

住宅ローン関連費用

住宅ローンを利用する場合、事務手数料や保証料といった費用がかかります。

金融機関やローンの種類によって費用の内容や金額は異なります。

火災保険・地震保険

住宅ローンを利用する場合、金融機関から火災保険への加入を求められることがあります。

地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約します。

そのほか購入時に必要になる費用

これまで紹介した費用のほかにも、水道加入負担金や、マンションを購入する場合の修繕積立基金など、物件によって必要になる費用があります。

不動産会社から案内される費用の内訳を、事前に確認しておきましょう。

新築・中古・マンションでかかる費用はどう違う?

同じ不動産購入でも新築か中古か、戸建てかマンションか、によってかかる費用の種類や金額は異なります。

新築住宅でかかる費用

新築住宅は不動産会社が売主となるケースも多く、その場合は仲介手数料がかかりません

一方、注文住宅などでは、別途上下水道の引き込みにかかる費用が必要になることもあります。

中古住宅でかかる費用

中古住宅は不動産会社の仲介で購入するケースが多く、仲介手数料がかかることが一般的です。

また、リフォームを前提に購入する場合は、諸費用とは別に、リフォーム費用も考えておく必要があります。

マンションで追加になる費用

マンションを購入する場合は管理費や修繕積立金に加えて、購入時に修繕積立基金が必要になることがあります。

戸建てとは異なる費用がかかる点を事前に確認しておきましょう。

築5年・3,000万円の中古戸建てで諸費用をシミュレーション

ここまでの内容をもとに、具体的なモデルケースで諸費用をシミュレーションしてみましょう。

今回のシミュレーション条件

今回は、次のような中古戸建てを購入するケースを想定します。

  • 築5年の中古戸建て
  • 売買価格3,000万円
  • 自己居住用
  • 土地面積150㎡、建物床面積100㎡
  • 土地の固定資産税評価額1,000万円、建物の固定資産税評価額800万円
  • 不動産会社の仲介で、個人の売主から購入
  • 住宅ローン3,000万円を利用(保証料が別途かからないタイプ)
  • 売買契約書、住宅ローンの金銭消費貸借契約書はいずれも紙で作成
  • 決済・引渡し日は10月1日
  • 固定資産税・都市計画税の年額は合計18万円、1月1日起算で精算
  • 適用要件を満たす税の軽減措置を利用し、住宅用家屋証明書を取得
  • 火災保険・地震保険に加入
  • 司法書士報酬や住宅ローンの事務手数料、保険料などは、法律で金額が決まっているものではありません。
  • 今回は一般的に見られる料金水準を参考にしたモデルケースとして金額を設定しています。
  • 実際の金額は物件や依頼する金融機関・司法書士・保険会社などによって変わります。

各費用はいくらになる?

<仲介手数料>

今回は、仲介手数料の計算基礎となる売買価格を3,000万円として計算します。

仲介手数料の上限額は、次のように計算します。

(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105万6,000円

<登録免許税・司法書士報酬>

登録免許税の内訳は次のとおりです。

  • 土地の所有権移転登記:固定資産税評価額1,000万円×1.5%=15万円
  • 建物の所有権移転登記:固定資産税評価額800万円×0.3%=2万4,000円
  • 抵当権設定登記:住宅ローン3,000万円×0.1%=3万円

登録免許税の合計は20万4,000円です。

今回設定した住宅が軽減措置の要件を満たし、住宅用家屋証明書を取得する前提で計算しています。

これに司法書士報酬11万円を加えると、登記費用は合計31万4,000円です。

司法書士報酬11万円は、今回のモデル上の設定です。

<売買契約書の印紙>

売買価格3,000万円の売買契約書を紙で作成し、不動産の譲渡契約書に適用される印紙税の軽減措置を利用する前提で、1万円とします。

<不動産取得税>

不動産取得税は、次の計算式で求めます。

(固定資産税評価額-控除額)×3%

建物の控除額は、新築時期などの要件を満たすと1,200万円になります。今回は建物の評価額が800万円のため、

800万円-1,200万円<0

となり、課税標準は0円となるため、建物の不動産取得税も0円です。

土地は、評価額の2分の1に3%をかけた金額から、一定の計算式で求めた控除額を差し引きます。

今回の条件で計算すると、

  • 評価額をもとにした税額:1,000万円×1/2×3%=15万円
  • 控除額:(1,000万円÷150㎡×1/2)×200㎡(床面積100㎡の2倍、上限200㎡)×3%=20万円

減額額20万円が当初税額15万円を上回るため、土地の不動産取得税も0円です。

このように、土地・建物とも控除額が税額を上回るため、合計0円という計算になります。

ただし、「中古住宅なら不動産取得税は0円になる」という意味ではありません

実際の税額は固定資産税評価額や物件の条件、軽減措置の適用状況によって変わります。

<固定資産税・都市計画税の精算金>

固定資産税・都市計画税の年額を18万円と仮定し、1月1日を起算日として、10月1日の引渡し以降の分を買主が負担する前提で計算すると、約4万5,000円になります。

精算方法や起算日は、契約内容や地域の慣習によって異なることがあるため、あくまで一例として考えてください。

<住宅ローン関連費用>

今回は、借入額の2.2%を事務手数料とし、保証料が別途かからないタイプの住宅ローンをモデルにしています。

  • 住宅ローン事務手数料:3,000万円×2.2%=66万円
  • 金銭消費貸借契約書の印紙税:2万円

合計68万円です。事務手数料や保証料の仕組みは、金融機関や商品によって異なります

<火災保険・地震保険>

火災保険・地震保険をあわせて15万円と設定しています。

この金額も、今回のモデル上の設定です。実際の保険料は、建物の構造や所在地、補償内容、保険期間などによって異なります

<そのほかの費用>

今回のモデルケースでは、水道加入負担金などの「そのほかの費用」は発生しないものとしています。実際には、物件によって別途費用が発生する場合があります。

諸費用の合計はいくら?

費用金額
仲介手数料105万6,000円
登録免許税・
司法書士報酬
31万4,000円
売買契約書の印紙税1万円
不動産取得税0円
固定資産税・
都市計画税の精算金
約4万5,000円
住宅ローン関連費用68万円
火災保険・地震保険15万円
そのほかの費用0円
合計約225万5,000円

今回のモデルケースでは、諸費用の合計は約225万5,000円となり、物件価格3,000万円の約7.5%です。

手付金は売買契約時に支払いますが、通常は売買代金の一部に充当されるため、今回の諸費用には含めていません。

ただし、手付金は売買契約時に現金などで支払うケースが多いため、諸費用とは別に準備しておく必要があります。

手付金の相場や返還されるケースについては、手付金についての記事で詳しく解説しています。

このほか、住宅用家屋証明書や登記事項証明書などの取得費用、振込手数料といった少額の実費がかかる場合があります。

また、引越し代や家具・家電の購入費、リフォーム費用なども、今回の諸費用には含めていません。

実際の資金計画では、これらも別に考えておく必要があります。

このシミュレーションは、あくまで一つのモデルケースです。

物件や取引条件によって金額は変わるため、実際の購入時は不動産会社や金融機関、司法書士から個別の見積もりを確認するようにしましょう。

不動産購入の諸費用は現金で準備するのが基本

諸費用は、基本的に自己資金として現金で準備しておくことをおすすめします。

住宅ローンの融資前に必要になる費用もある

住宅ローンの融資が実行されるのは、決済・引渡しのタイミングです。

一方、諸費用の中には売買契約時や住宅ローン契約時など、融資実行より前に支払いが必要になるものもあります。

そのため住宅ローンで物件価格の全額をまかなえたとしても、手元の現金がまったく不要になるとは限りません。

現金はいくら準備しておけばいい?

「諸費用の総額を、決済日にすべて現金で支払う」という意味ではありません。

先ほどのシミュレーションでは、諸費用は約225万5,000円でしたが、この全額を同じ日に支払うわけではありません。

売買契約時、住宅ローン契約時、決済時、購入後など、支払うタイミングが分かれているため、それぞれの時期にどれくらいの現金が必要になるかを事前に把握しておくことが大切です。

必要な現金の金額は、物件やローンの条件によって異なります。

まずは諸費用の見積もりを取り、そのうち融資実行前に支払う費用がどれだけあるかを確認したうえで手元に用意しておく金額を考えておきましょう。

諸費用を住宅ローンに組み込める場合もある

金融機関によっては諸費用の一部を住宅ローンに組み込めたり、諸費用専用のローンを利用できたりする場合があります。

対象となる費用や条件は金融機関によって異なります。

ただし、諸費用まで借入に含めると、その分借入額が増え審査に影響することもあります。

毎月の返済額や総返済額が増える点もあわせて考えておく必要があります。

「借りられるから利用した方がよい」というものではなく、自己資金の状況にあわせて検討することが大切です。

不動産購入の諸費用を抑える方法

諸費用の中には、工夫によって負担を抑えられるものと、税金のように単純には削れないものがあります。

「とにかく安くする」という考え方ではなく、必要な費用を理解したうえで、利用できる制度や見直せる部分を確認していきましょう。

税金の軽減措置を確認する

登録免許税や不動産取得税には、一定の要件を満たすことで税額が軽減される制度があります。

要件を満たしている場合は利用できる軽減措置がないか確認しておきましょう。

仲介手数料のキャンペーンを確認する

不動産会社によっては、仲介手数料について時期に応じて割引キャンペーンなどを実施していることがあります。

タイミングが合えば購入時の負担軽減につながることもあります。

ただし、仲介手数料の安さだけを理由に不動産会社を選ぶことはおすすめしません。

担当者の対応や提案内容なども含めて比較したうえで、自分に合った不動産会社を選ぶことが大切です。

複数の不動産会社を比較できるサービスを使って条件を見比べてみる方法もあります。

火災保険のプランを見直す

火災保険は必要な補償内容を確認したうえで、不要な補償まで付けていないか見直してみましょう。

単純に保険料が安い商品を選ぶのではなく、必要な補償を確保したうえで、無駄な部分がないかを確認することが大切です。

司法書士報酬を確認する

司法書士報酬は法律で金額が決まっているものではなく、司法書士ごとに報酬額を定めています。

物件価格や融資金額、登記の申請件数などによって異なりますが、所有権移転登記と抵当権設定登記などを依頼する場合、司法書士報酬は8万〜15万円程度が一つの目安です。

なお、これは司法書士報酬の目安であり登録免許税などの実費は別にかかります。

司法書士報酬を節約したいと考えたとき、「自分で登記すれば節約できるのでは」と考える方もいるかもしれません。

自分で登記を申請する場合、必要書類の収集や、登記申請書・添付書類の準備が必要です。

書類によっては役所などへ出向く必要もあり、手間や時間がかかります。

また、住宅ローンを利用する場合、金融機関から司法書士に登記を依頼するよう求められるのが通常です。

金融機関としても融資の実行に合わせて所有権移転登記や抵当権設定登記を確実に行う必要があります。

そのため、住宅ローンを利用する場合、買主本人が登記手続きを行えるケースはほとんどありません。

引越し時期や業者を見直す

引越し費用は、時期によって料金が変わります。

繁忙期を避けられる場合は負担を抑えられる可能性があります。

また、引越し費用は業者によっても差が出やすいため、1社だけで決めず、複数社から見積もりを取って比較することをおすすめします。

一括見積もりサービスなどの比較サービスを使うのも一つの方法です。

親などから資金援助を受ける場合は贈与の非課税制度も確認する

親や祖父母などから住宅購入資金の援助を受ける場合、一定の要件を満たすと、「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」を利用できることがあります。

この記事では制度の詳細には踏み込みませんが、利用を検討する場合は、最新の要件を国税庁などで確認するようにしましょう。

諸費用まで含めて住宅購入の資金計画を立てよう

不動産購入では、物件価格以外にも、仲介手数料や登記費用、税金、住宅ローン関連費用、保険料などの諸費用がかかります。

諸費用は支払うタイミングが分かれており、住宅ローンの融資実行前に必要になる費用もあるため、基本的には現金で準備する前提で資金計画を立てておきましょう。

また、諸費用の中には、工夫によって負担を抑えられるものと、税金のように単純には削れないものがあります。

「とにかく安くする」のではなく、必要な費用を理解したうえで、利用できる軽減措置や見直せる費用を確認し、無理のない資金計画を立てることが大切です。

不動産購入全体の流れをあらためて確認したい方は、購入の流れについての記事もあわせてご覧ください。

決済・引渡しの当日に何をするのか気になる方は、決済・引渡しについての記事もご覧ください。

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