重要事項説明ってなんだろう?
売買契約を控えていると、そう感じる方も多いのではないでしょうか。
重要事項説明書には専門用語が多く、「どこを確認すればいいの?」と戸惑う方もいるでしょう。
結論から言うと、重要事項説明書は購入する不動産や取引条件について、契約前に確認するための重要な書類です。
書かれている内容をすべて暗記する必要はありません。
ただし、分からないまま聞き流さず、自分に関係する項目や疑問点を契約前に確認しておくことが大切です。



私が司法書士として働いていたころ、登記に必要な書類へ署名・押印をいただくため、売買契約の場に同席することもありました。
重要事項説明では専門的な内容が次々と説明されるため、「初めて住宅を購入する方は、この場ですべて理解できているのだろうか」と感じたことを覚えています。
✅重要事項説明書とは何か、誰がいつ説明するのか
✅重要事項説明書と売買契約書の違い
✅記載されている内容の全体像
✅買主として特に確認しておきたいポイント
✅重要事項説明を受けるときの注意点
重要事項説明書とは
重要事項説明書とは、不動産の売買契約を結ぶ前に、物件や取引条件について買主へ説明するための書類です。
重要事項説明書は「重説」「35条書面」とも呼ばれる
不動産会社との会話では、「重説(じゅうせつ)」と略して呼ばれることがよくあります。
また、宅地建物取引業法の第35条に規定されていることから、「35条書面」と呼ばれることもあります。
呼び方が違うだけで、指しているものはすべて同じ書類です。
重要事項説明は誰がいつ行う?
重要事項説明は、宅地建物取引士という国家資格を持つ専門家が行うと法律で定められています。
タイミングとしては、売買契約を締結する前の30分〜1時間くらいに行われ、そのまま契約へ進むケースが一般的です。
売買契約の前後はほかにも確認すべき書類が多くあります。
そのため、その場で初めて内容を聞いて理解しようとするのではなく、可能であれば重要事項説明書にも事前に目を通しておきましょう。
重要事項説明書と売買契約書の違い
重要事項説明書と売買契約書は、目的も内容も異なる、別の書類です。
重要事項説明書は契約前に物件や取引条件を確認するための書類
重要事項説明書は、買主が契約するかどうかを判断するために必要な情報を提供するための書類です。
一方、売買契約書は、売主と買主が合意した契約内容を確定させるための書類です。
つまり、重要事項説明書で内容を確認したうえで、売買契約書によって正式に契約を結ぶという流れになります。
重要事項説明書と売買契約書の違いを比較表で確認
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 重要事項説明書 | 売買契約書 | |
|---|---|---|
| 目的 | 契約するかどうかを判断するための情報提供 | 契約内容を確定させること |
| 確認するタイミング | 売買契約を結ぶ前 | 売買契約を結ぶとき |
| 主な記載内容 | 物件の権利関係 法令上の制限 取引条件など | 売買代金 引渡し時期 契約条件など |
| 宅地建物取引士による説明 | 法律上、必ず行われる | 重要事項説明のような説明義務はない |
売買契約書の内容をどこまで確認すればよいかについては、別記事で詳しく解説しています。
重要事項説明書には何が書かれている?
重要事項説明書には多くの項目が記載されていますが、大きく3つのグループに分けて理解すると全体像をつかみやすくなります。
| 分類 | 主な内容 |
|---|---|
| 物件に関する事項 | 登記された権利 法令上の制限 私道負担 インフラの整備状況 ハザード情報など |
| 取引条件に関する事項 | 代金以外に授受される金銭 契約解除 手付金 住宅ローン 契約不適合責任など |
| マンションの場合に追加される事項 | 管理費 修繕積立金 管理規約 管理会社 大規模修繕の予定など |
物件に関する事項
物件そのものに関する情報として、登記された権利の内容、都市計画法や建築基準法などの法令上の制限、私道に関する負担、電気・ガス・水道といったインフラの整備状況、ハザードマップ上のリスク情報などが記載されます。
取引条件に関する事項
取引の条件に関する情報として、代金以外に支払う金銭の有無、契約を解除できる条件、手付金の扱い、住宅ローンに関する事項、契約不適合責任に関する内容などが記載されます。
マンションの場合に追加される事項
マンションを購入する場合は、上記に加えて、管理費や修繕積立金の金額、管理規約の定め、管理会社に関する情報、大規模修繕の実施状況や予定なども記載されます。
法定記載事項をすべて覚える必要はありません。
まずは、この3つの分類で全体像をつかんでおきましょう。
買主が重要事項説明書で特に確認したいポイント
数ある記載事項の中でも、買主として特に確認しておきたいポイントを紹介します。
所有者や抵当権などの権利関係
物件の登記簿上の権利関係を確認します。
不動産には、住宅ローンの担保として抵当権が設定されていることがよくあります。
売主が受け取る売買代金などでローンを完済し、決済にあわせて抵当権を抹消するのが一般的な流れです。
そのため、抵当権が付いていること自体は珍しくありません。
どのような手順で抵当権が抹消される予定なのか確認しておきましょう。
建築や利用に影響する法令上の制限
都市計画法や建築基準法などにより、建て替えや増改築に制限がかかっている場合があります。
将来的にリフォームや建て替えを考えている方は、特に確認しておきたい項目です。
道路・接道と私道負担
物件がどのような道路に接しているか、私道の負担があるかを確認します。
接道状況によっては、将来の建て替えに影響することもあるため重要なチェックポイントです。
水道・電気・ガスなどのインフラ
上下水道やガスなどのインフラが物件まで整備されているかを確認します。
整備されていない場合、別途工事費用が発生することもあります。
洪水・土砂災害などのハザード情報
ハザードマップ上で、物件がどのようなリスクのある地域に位置しているかが説明されます。
将来の安全性や、保険加入の判断材料としても確認しておきたい項目です。
手付金・契約解除などの取引条件
手付金の金額や、契約を解除できる条件について確認します。
手付金や契約解除の考え方については別記事でも詳しく解説しています。
|不動産の手付金とは?相場・返ってくるケース・注意点|元司法書士が解説
マンションなら管理費・修繕積立金・管理規約も確認
マンションの場合は、毎月の管理費や修繕積立金の金額、将来の値上げ予定、管理規約による利用制限なども確認しておきましょう。
これらは購入後の生活コストや利便性に直結する項目です。
重要事項説明を受けるときの注意点
重要事項説明を受ける際は、次の点を意識しておくと安心です。
できれば重要事項説明書を事前に確認する
可能であれば、重要事項説明の前に書類を受け取り、事前に目を通しておきましょう。
当日にすべてを理解しようとするより、疑問点をあらかじめ整理しておく方が質問もしやすくなります。
分からない内容はそのままにせず質問する
専門用語が多く、その場で理解しきれない部分もあるかもしれません。
分からない点は遠慮せずにその場で質問しておきましょう。
説明を聞くだけでなく書面の内容も確認する
重要事項説明のあと、そのまま売買契約に進むケースもあります。
説明を聞いて分かったつもりになるだけでなく、書面の内容も自分の目で確認し、曖昧なまま契約に進まないようにしましょう。
重要事項説明書についてよくある質問
重要事項説明書に押印は必要?
2022年5月の宅地建物取引業法改正により、宅地建物取引士による「記名押印」は廃止され、「記名のみ」でもよくなりました。
買主側の押印についても、法律上必須と定められているわけではありません。
ただし、不動産会社や契約の進め方によって運用が異なることもあるため、気になる場合は担当者に確認してみましょう。
IT重説とは?
IT重説とは、対面ではなくオンラインで重要事項説明を受ける仕組みのことです。
パソコンやスマートフォンを使い、ビデオ通話形式で説明を受けられるため、来店の手間を減らせるという利点があります。
重要事項説明書は事前にもらえる?
重要事項説明書は、事前に受け取れるケースが多くあります。
当日いきなり説明を受けるのではなく、事前に書類を受け取れないか、担当の不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。
まとめ|分からないことは売買契約前に確認しよう
重要事項説明書は、購入する不動産や取引条件を契約前に確認するための重要な書類です。
すべてを暗記する必要はありませんが、分からない点をそのままにせず、契約前に確認しておくことが大切です。
重要事項説明の次は、売買契約書の内容を確認することになります。
契約書で確認しておきたいポイントは、関連記事で詳しく解説しています。
手付金の相場や返還されるケースについて知りたい方は、手付金についての記事もあわせてご覧ください。
住宅ローンの審査に通らなかった場合の扱いについては、住宅ローン特約についての記事も参考にしてください。






